「コウが、先月しんでね。」と、コウ君パパが言ったのは、
仕事に出ようとした玄関の前だった。
「ネコにはよくあるらしいけど、腰に血栓が出来てね。病院に行ったけどダメだった。」

長い1日を過ごして、帰り道、目から塩水が出そうになりながら玄関に入ると、
千坊が待っていた。
珍しく、くっついてまわった。
悲しい気持ちがわかったのかな。

そうだ。コウ君のおウチに、フォトブックを作ろう。と、
思いついたのはよかったが、
7万枚の中から、コウ君の写真を全部集めるとこから始めたので、
なかなか進まない。

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コウ君と千坊の、1200枚以上ある写真の中で、
これが一番好き。

ツンっと後ろを向いてしまったコウ君の背中を、
”どうしたんだろう?怒ってるのかな?”と、覗き込む幼い千坊。


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必死の表情でついていく。

千坊にとって、初めての友人であり、兄貴のコウ君。

久しぶりにむかしの写真を見ていたら、
千坊が、コウ君の後ろについて回っている写真がどっさりあった。


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どこまでも、どこまでも、



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ついていきたい。どこまでも。



賢くて、男前で、ツンデレ王のコウ君。

大人になってから、この街に来た私に、最初に仲良くしてくれたのは彼だ。
私にとっても、この街で、たったひとりの友達。

生まれて初めて、人間以外の動物と会話が成立した!という衝撃の体験を交わしたのも、コウ君だ。


あれは、まだ千坊が1歳くらいの頃。
初めての逃亡だった。
タッコママが心配して騒ぐので、探して回ったのだが見つからない。

近所図

途方に暮れて、二階のベランダから(赤い矢印方向)をふと見ると、隣家の裏の塀の上に
コウ君(赤い星)が座っていた。目があったので、
「あのね、千がいなくなっちゃったの。どこにいるか知らない?」と聞くと、
コウ君は、①の方向をジッと見た。
「え?そっち?」
家を駆け出て、①の側に回ったら、いた!! だが逃げた!
またもや家に駆け込んで、二階ベランダより、コウ君に問う。
「どっちに行った?」
コウ君は、今度は②の方向をジッと見た。
駆け出て、回り込むと。いた。

ワタシは今、完全にネコと会話をした!と感動しつつ千坊を確保したこの話は、ワタシの自慢だ。
以来、我が家ではコウ君ほど賢いネコはいない。と評判になる。


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友達になってくれて、ありがとう。コウ君。
これからも、ずっと大好きだ。